台風 で近隣に被害…お寺のせいだと言われたら
こんにちは、寺院保険アドバイザーの佐藤です。
今回、 台風 21号の被害で、弊社にご加入いただいている京都のご契約者さまから、多くの保険金請求がありました。
その中のご相談で、下記の事故報告を受けました。それぞれのケースを説明していきます。
- 台風でお寺の本堂の屋根瓦が飛ばされ、隣の駐車場に止まっていた車に落下したことによりガラスが破損。
- 台風でお寺の本堂の屋根瓦が飛ばされ、隣家の屋根瓦や物干しの波板に直撃。
- お寺の境内地内の大木が強風で倒れ、学校のフェンスを破損。
- お寺の境内地内の大木が強風で煽られ、枝が何度も隣家の屋根に接触し破損。
結論からお伝えすると、被害を受けた方々は、相手側の賠償責任が発生しないと賠償請求できません。
これは、予測できない状況で発生した今回の台風の場合、お寺側は、どうすることもできないので不可抗力として、賠償責任は生じないことになっています。
ご迷惑をおかけしたお寺側が、「賠償責任保険」にご加入されていても、賠償責任が生じないので、保険は使用することができません。
台風や地震などによる自然災害で被害を受けた場合は、自然災害を補償する保険にそれぞれ加入しておく必要があります。
現在入っている保険が、どのようなケースを補償するのかを知っておくこと、事故が起こったらすぐ相談できる保険担当者の存在が大きな助けになります。
1. お寺の屋根瓦が飛んで、近隣の車を破損
本堂の屋根瓦が台風以前から不安定で落下しそうなことが容易に判断できたであろう時は、賠償責任が発生する可能性は高いですが、寺院側が定期的に点検され、異常がなかった場合、不可抗力として賠償責任が発生しません。
今回の台風21号では、同近隣の住宅の屋根瓦やトタンが飛んで、民家や自動車への事故が数多くありました。
今回の場合、車の所有者は自動車保険の補償にある、車両保険を使用されるかどうかですが、車両保険を使用すると、ご契約の等級は下がりますよね。
自動車の所有者は、等級が下がり翌年の保険料が高くなるので納得がいきませんよね。
ましてや車両保険に加入していなかったら、修理費用は全て実費です。
そして、お寺側も「賠償責任保険」に加入しているのに、賠償責任が発生しないので、相手へ保険金を出してあげることもできません。ご住職という職業柄と近隣住民なので、今回は、お見舞金を実費でお支払いされました。
2. お寺の屋根瓦が、近隣の家屋を破損
これもケース「1.」の事故報告と類似した被害ですね。
ご住職が定期的に点検され、異常がなかった場合、不可抗力として賠償責任が発生しません。
被害を受けた側は、風災補償が付いている火災保険に加入しておく必要がありますね。
風災補償も、実損払いと20万円フランチャイズがあるのでご確認を。
3. 境内の倒木が、近隣のフェンスを破損
これは台風の影響か、それとも古木であり倒れそうであったか、腐ってはいなかったのか等の寺院側の管理責任が問われそうなところです。
実際に、寺院側の管理責任が不十分であったと証明され、賠償義務が発生すれば、「賠償責任保険」が使えることになります。
よって、学校のフェンスは「賠償責任保険」を使用して、修理することができます。
「賠償責任保険」は、自動車保険のように等級制度ではないので、翌年に保険料が上がることはありません。
寺院側の管理が十分で、賠償責任が発生しない場合は、学校側が加入している火災保険で対応していただくことになります。
倒木のケースでは、賠償責任が問われることがある可能性も高いです。
ご加入されていない場合は、「賠償責任保険」を早めにご検討ください。
4. 境内の大木が強風で揺れ、近隣の屋根に接触
こちらのケースでは、隣家の屋根に、境内地の樹木の枝が真上に覆いかぶさっていました。
その枝が台風で煽られ、隣家の屋根に何度もムチのようにしなって接触していました。
これは、以前から寺院側も隣家の方も、強い台風が来ると危ないとお互いの認識があり、話し合いを持たれていました。
このような場合ですと、隣家の方が「火災保険」に加入されていれば火災保険で屋根瓦の修理ができますし、寺院側も賠償責任を負う可能性が高いので「賠償責任保険」で相手側に補償することができます。
寺院は賠償責任を負う可能性が高いです。
お寺側は、境内地の広さや樹木多さ、建物と隣家との距離、建物の高さなどを考えると賠償責任を負う可能性が高いです。
近隣住民とトラブルが起きないように、「賠償責任保険」の検討をおすすめします。